テレビ東京の深夜映画「シネマ・ラ・バンバ」で放映されてる『のど自慢』を観賞中。
 この時間帯、一癖も二癖もある佳作を見せてくれる番組で、一見すると平凡極まりないこのタイトル。番組表を見た瞬間に、何やら尋常じゃなくビンビン惹かれるものがあって、つい見てしまったけれど……その予感は間違ってなかった。
 紆余曲折の人生を辿ってきた人々が、のど自慢会場に続々と集結する物語。フランチャイズ焼き鳥屋台の試験と掛け持ちしながら大会に出ようとするパパとか、現役プロ歌手という素性を隠して(しかも巡業すっぽかして!)参加しようとする女とか、「鐘一つで落ちたら同級生の男の子にヤらせる」と賭けちゃった女子高生とか、それぞれがヘンだけど決して笑い飛ばせない背景を背負ってて、妙に熱い。
 ……なるほど、この映画って構造的には格闘トーナメント物に似てるのか。それぞれの出場者が悲喜こもごものドラマを背負ってて、バトルの代わりに歌を素材にしてる、と。
 しかも各キャラの選んだ歌がそれぞれのドラマと絶妙にシンクロしてて、本選のシーンはメチャクチャ泣けた。女子高生と現役歌手が交換して唄った「花」と「TOMMOROW」、そして締めの「上を向いて歩こう」には激しく感涙。

 元ネタ再現のディティールも中々で、ちゃんと金子アナが出てたり、打ち合わせで「ブランド名が書かれた服は宣伝になるから着ちゃダメ!」というシーンがあったりと、結構オリジナルに忠実なところも好印象。……そういえば本物の「NHKのど自慢」を最後に観たのって、いつだったっけ?