最悪のバッドエンドが「美人で優しい家庭教師のおねーさんと結婚」って……。

 なぜか今更、ドリキャス『ラブひな 突然のエンゲージ・ハプニング』にハマり中。ワゴンセールで買ったまま放置してたのを部屋の片付け中に見つけて、何気なく遊び始めたままズルズルと……。
 このゲーム、何も考えずに遊んでると高確率でバッドエンド直行です。行動判定が運任せ(キャラクタールーレット=CR)で決まる上に、「初期成功率が40%、判定成功で成功率アップ/失敗でダウン」というシステムを取っているので、普通にやってると失敗に次ぐ失敗の悪循環になっちゃうんですね。エンディング条件の「学力判定」も全ての行動結果に伴って増減するから、クリア基準のB判定なんて到底無理。
 初回プレイはZ判定で敢無くバッドエンド、2周目以降はCRの度にセーブとリセットを繰り返して、どうにか各キャラのエンディングを見れるようになってきました。正直、オープニングからノーセーブでCRが続く「モトコのチュートリアル〜朝食」の場面と、同じくノーセーブ進行の第3話「キッチンリーグ試食」が一番キツい……。
 しかし驚いたのはシナリオ進行の秀逸さで、行動が成功しても失敗しても話としては面白く、むしろドジを繰り返した方が『ラブひな』らしい雰囲気を味わえるというのが凄いです。しかもエンディングだけならリトライモードを利用すれば簡単に見れるし、なる・むつみの二大ヒロインに至ってはD判定専用のエンディングまで用意されてるという。
 何度かプレイした後に1周目を振り返ってみると……「まずバッドエンドを見てもらうために、わざとああいうバランスにしたんじゃないか?」とも思えてきます。景太郎のダメっぷりを散々体感した後で、努力(セーブ&リセット)を繰り返してリターンマッチを成し遂げる……と。

 で、肝心のシナリオはというと……見事なもので、原作の雰囲気を損なわず、+αの魅力を生み出すことに成功してます。
 最大の立役者は、DC版オリジナルのヒロイン・藤沢みづほ。景太郎を東大に合格させるため「ひなた荘」にやってきた現役東大生の家庭教師で、彼女が「落ちたら自分と結婚しなさい」という条件を付きつけたことから物語が始まります。滅茶苦茶というか羨ましいというか……。(笑)
 ところが、彼女の言動の端々には景太郎の「約束」への拘りが。もしや、みづほが「約束の女の子」なのか!?……という線で話が進んでいくから驚き。なにせ原作完結後にプレイしたので、設定無視!?とハラハラしながら進めていったところ、(以下保護色)最終的には原作に矛盾しない形で綺麗に締めくくってくれました。しかも、彼女のエンディングが誰よりも感動的だったり。一本取られました。
 キャラクター的にも『ラブひな』の世界に違和感無く溶け込んでいながら、原作のキャラに負けない存在感と魅力を発揮してますね。時系列的には、(まだ可奈子が登場してない上に、むつみ・しのぶ・モトコも景太郎との仲が進んでいない*1)6巻時点の話にあたるので、「成瀬川の恋敵」的な扱いを受けてストーリーを盛り上げてるのも美味しいところ。


 そして、みづほに負けじと頑張っているのが『ラブひな』レギュラー陣。DC版のシナリオ全体が、原作では食い足りなかった「住人編」的エピソードの連続なので、どのキャラにも原作に匹敵する見せ場が与えられてます。特にEXシナリオでは、むつみの変人ぶりやカオラ・キツネのトラブルメーカーぶりが猛威を奮っていて、原作のノリを堪能できました。そんな「いつものドタバタ」に、みづほも当たり前のように巻き込まれてるから凄いんですよね。
 スタッフが作者と同等以上に原作への理解と愛情を持っていなければ実現できない、「原作を越えた二次創作」と呼んでも過言ではないかも。
 攻略サイトによれば、シナリオ達成度を100%にしないと拝めないボーナスシナリオも隠されてるそうで……当分これにハマりそう。

*1:その割には何故か、しのぶのエンディングが全キャラ中最もラブラブだったりするけどw