夜中にNHKで再放送していた少年ドラマ『なぞの転校生』(原作:眉村卓)を視聴。
 う〜ん……激しく微妙。面白かったけど。

 核戦争から逃れて幾多の世界を渡り歩いてきた「次元ジプシー」が、「D15世界」と呼ばれる我々の地球にやってきた。その一人である”なぞの転校生”山沢が巻き起こす様々な騒動、地球人・岩田との親交、そして「次元ジプシー」たちの辿る運命が描かれ、文明批判を交えた青春ドラマが繰り広げられる……のだけれど。
 すっかり自分の物の見方がひねくれてしまっている所為か、「無闇にプライドが高いエリートは世渡りできない」がテーマ?、と思えてしまった。いっそ倉阪鬼一郎荒木飛呂彦が同じネタで書いた作品を読んでみたい……なんていうのは意地が悪すぎか。
 なにせ次元ジプシー様ときたら、高度な知識と平和主義を標榜する割には他人の神経を逆撫でするようなことしか言わないし、試験で満点連発してマスコミを呼び寄せてしまうし、(苗字もバラバラな日本人に偽装しているはずなのに)同じ団地の一室で十人以上固まって暮らしてるし、穏便に暮らそうという配慮がなさすぎ。むしろ好き好んで一般人に喧嘩売ってるようにも思える。岩田少年の「あなたがたは優秀すぎ、繊細すぎるんです。それが却っていけない」発言で満足して行いを改めたけど。
 このドラマを中学生くらいの時に見ていたら、きっと自分もミステリアスで悲劇的な次元ジプシー達に共感し、文明批判に傾倒していたんじゃないかと思う。でも、今になって『なぞの転校生』に感情移入できたのは、むしろ岩田少年側の主張……「あなたがたは幾つもの世界を渡り歩いているから、理想を追って選り好みすることができる。だけど、そんな能力を持たない自分たちには”理想の世界”などない。あるとすれば、それは人の心の中だ」という旨の。「完璧主義に陥るよりは、現実に生きている世界を少しずつでも良くするよう生きるべきだ」という主張にも読み取れるし(実際、物語のラストで次元ジプシーたちは地球への定住と共存を選択することになる)、それに……
 むりやり当てはめるなら、現在のインターネットにも同じような「ジプシー」と「世界の選択/あるいは定住という選択」が星の数ほど存在するのかもしれない。