倉阪鬼一郎のジェットコースターホラー『首のない鳥』を読了。(以下、ネタバレにつき白黒反転したテキストを含みます)

 創業100年を誇る天下の光鳥印刷で、極秘プロジェクトに関わることになった女性校正者・怜子を狙う魔の手。不吉なメッセージを残して消えた同僚や友人たちの行方は? 不気味な社章「首のない鳥」に秘められた呪わしき過去とは? そして怜子の運命は?……という感じの正統派ホラーだと思ったら、またしてもラストでしてやられた。
 終盤のグロテスクで悪趣味な「無礼講」には嫌悪感を催したものの、無敵の邪神「化鳥」様復活から閉幕までが余りにも豪快でスケール大きすぎて、唖然とした後に大爆笑。何ていうか、映画館でゴジラを見てたらいきなり頭上から建物ごと踏み潰されたようなショックを受けたというか。もしかすると「栄耀栄華」も「贄を三度違えた」ことへの呪いも、その対象は光鳥印刷だけではなく……!?という考えオチなのかも。
 普通のホラーなら怜子が城野と結ばれて「適格」じゃなくなって会社だけ滅んでハッピーエンド、という手もあるんだろうけど。さすが倉阪鬼一郎そこにシビれる憧れるゥ!