いちばん気になる『文字禍の館』は未発見だけど

 現在のマイブーム、倉阪鬼一郎
 というわけで『田舎の事件』(倉阪鬼一郎幻冬舎文庫)が面白すぎます。都会で挫折した”井の中の蛙”や”お山の大将”が織り成す、無様で滑稽で痛々しいがヒトゴトとばかり笑い飛ばすこともできない物語。
 収録作の中でやや特殊だったのは、村中から初の郷土力士誕生という期待をかけられながらも夭逝して銅像になった少年の話「亀旗山無敵」。他の短編は主人公自身の鬱屈したプライドが事件の引き金となるのが多いけれど、この話はある意味では村人全員が加害者とも呼べるような気が。少年に素質のないことを承知のうえで私利私欲のためにベタ褒めする親方も親方だけど。
 これと一緒にブクオフで買った『不可解な事件』も読むのが楽しみ。
 あと友人に貸していた『内宇宙への旅』が戻ってきたので再読してたら、ちょっと前に読んだ『首のない鳥』とのリンクに今更気付いて吃驚。おそるべし化鳥様。