ミステリと萌えを巡る話題に反応してみるテスト(3)

 続いては、「萌え」をより広義に捉えた場合。
 萌え記号とか萌えシチュとか、とにかく「パターン化された要素への愛着」を全て「萌え」と呼ぶなら、『コズミック』で確立されてしまった「名探偵萌え」のみならず、密室・孤島・嵐の山荘や「名探偵役とワトスン役の(多くの場合は伏線の役割も兼ねた)衒学的な脱線雑談」みたいなシチュエーションへの傾倒も「萌え」になってしまうのかなぁ、と。「見取り図萌え」「家系図萌え」「時刻表トリック萌え」なんて人もいるかもしれませんね。
 あと蛇足になりますが、「萌え」という言葉が生まれる以前に発表された作品も、遡って「萌え」的な読み方をされてしまう場合がありますし。(佐藤ケイだったかな? 「『八つ墓村』は萌え小説だ!」なんて言ってたのは)
 いずれにしても、書き手も読み手も「萌え」を意識しすぎて引きずられることなくバランス感覚を保っていれば問題ないと思います。
 萌え要素過剰でミステリ要素置き去りの「ミステリ」ばかりが売れて、昔ながらのミステリが駆逐されてしまう……といった事態にでもならない限り。

 ちなみに、ストーリーや謎の根幹に深く結びついているという意味では、姑獲鳥の夏が最高峰の「萌えミステリ」だと思うのですが。